人類の進化という観点から考えると、AIの台頭は間違いなく我々の日常生活をさらに便利に高効率に変革するが、同時に、当然ながら依存の危険を大いに孕んでいる。

他人をいくら出し抜いても、それは運まかせのシーソーゲームでしかないと気付くだろう。自分の勢いは永遠に続くものではなく、むしろ我々が恐れている通り、ここぞと言うときに頼りにならないのは、ほかでもない自分自身になるのだ。

世の中の全ての事象が不確実でいて、どんなことも起こり得るというならば、せめて自分一人の意志だけはときとして揺るがないものであったとて、恐れるほどのことでもないと思うこの頃なのだ。

“人生“という言葉を使うとき、ひとは他の動物と人間を区別している。しかしながら人間は、人生を生きると同時に動物としても生存していかなくてはならない。

ある惑星が他の惑星の重力に抗えないのとほとんど同じ様子で、人間も互いの存在の影響から自由になれた歴史はなく、物質が重力に捕われたまま運命を預けてしまうように、人間も自らの感情の支配から無重力に至ることはない。